子ども会のあり方

子ども会継続資料:冊子「地域での育成力を高めよう 【子ども会のあり方】」より

子ども会活動の意義

ー育成についてー

1 育成ということ
 人間が人間らしく成長・発達するためには、その発達段階に応じた「育成」の助けがなくてはなりません。
 「人間らしく育つ」とは、その個人のもつ、すばらしい可能性を伸ばすということです。
 子どもが成長するためには、人間らしく、いろいろな決まりになれたり、守ったり、生活のしつけを身につけたり、また多くの知識を自分のものにしたりすることが必要です。それには、両親をはじめとする多くの人たちの助力が必要です。このような助力のことを「育成」というわけです。

2 育成のはたらき
 育成の機能については、次の3つがあります。
  第1は、保護育成(保育のはたらき)
  第2は、教育・指導
  第3は、感化・影響

 これらが、それぞれ個別に機能するのではなくて、相互に連携し合いながら、育成の働きが子どもたちに作用していくわけですが、最も肝心なことは、これらの外的な機能よりも子ども自身が意欲をもつこと、まさにこのことが子ども会の活動の目ざすものです。

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1 目  的
 「健全な子どもの世界」を創造するための活動です。
 子ども会は、単なる子どもの集まりではなくて、子ども会という組織への愛着と連帯と子ども同士が相互に納得する規律の精神を涵養(かんよう)することが大切です。
 それは、現代の子どもに広く欠如している社会的公共心(社会的能力)を育てることになるからです。
 今日では、子ども会など、子どもたちを対象とする社会教育的な青少年団体以外に、この公共心を形成する場は、見いだしにくいのが現状です。
 子ども会活動は、地域社会に対して積極的な開かれた存在であることです。地域への奉仕や、地域行事への積極的な参加、あるいは、地域の歴史の発掘
などの機会をその活動の中に組み込むことで、子ども会が新しいコミュニティ
づくりのための有力なテコとなり、核となりうることができるのではないかと
考えます。

 児童憲章の前文にある「児童は人として尊ばれる」「児童は社会の一員として重んぜられる」「児童はよい環境の中で育てられる」という理念をうけて、愛とまことによって結ばれ、次代の日本を担うに必要な社会人としての資格の涵養(かんよう)、そして将来、人類の平和と文化に貢献できる子どもをはぐくむことが、指導者の、大人としての責任だと考えます。

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2 方  法

 「集団の遊び」レクリエーション活動です。
 子どもの生活は、生活それ自体が遊びだといわれます。子どもたちは遊びの中で、すべてを忘れて、その喜びに心身ともにひたり、とけこんでいます。
“遊びの天才”といわれる子どもから、遊びをとることは、子どもの成長発達に大きな心身の痛手を残すことになるのです。
 遊びに没頭する子どもたちの姿にこそ、子どもらしさが見事に表現されているのです。と同時に、子どもは遊びをとおしていろいろなことを学び、その成長の糧としていきます。この遊びをとおして自ら習得する学習(遊びのルールや仲間意識、協力や自立心の確立)は、強制されるものごとよりも、はるかに大きな人格形成の成果をもたらします。
 子ども会活動は、この子どもの自由奔放な遊びを中心にして行われる活動です。
 一般に子どもの遊びは、3つの自由から成り立っています。
・大人からの自由  ・想像力の自由  ・探検と発見の自由
 この3つの自由を、子どもたちが十分に享受する場づくりが、すなわち「子ども会」です。
 そしてその活動は、日常生活の中の遊びを、「集団の遊び」としてレクリエーションに再構成し、レクリエーション活動をとおして、その喜びのうちに前述の学習を深めながら、知らずしらずのうちに将来の社会生活に適応することのできる人間づくりを目指していくのです。
 活動を進めるためには、遊びは悪、勉強は善という親の意識の変革や、現代の遊びの時間、空間、内容についての検討、子ども文化の発掘などが必要ですが、最も大切なことは、地域に住む人々の協力です。地域社会の連帯なくして地域の子どもたちの健全育成はあり得ません。

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4 指導者の立場
 「ボランティア」活動です。
 子ども会の育成者・活動推進者=指導者は、その選出母体(自治会・育友会
<PTA>・有志ボランティア活動家など)や方法は各地区によって違いはありますが、性別・年齢にかかわりなく、児童憲章の理念を理解し、本会の目的に賛同することのできる人によって、多忙な中で奉仕活動として「子ども会活動」に従事されています。
 その重要性は、年々認識を深め、各地区=各地域で着実にその成果をあげています。
 また、指導者の選出は、子ども会育成への関心と実践が実績となって、各地区=各地域の子ども会育成の大きな原動力になり、結集発展してきました。
 趣味やおしゃべりや、机上の会ではなく、まさに、子どもたちの日常という現場での「教育=共育」として、一緒に遊び、一緒に学ぶ地味な実践は、貴重な指導者自らの時間を割いての奉仕活動であり、純粋なボランティア活動です。
 また、この指導者の熱意あふれる姿勢に対する、地域の人々の支援や協力が必要不可欠であり、さらに指導者を中心に、地域ぐるみ、あたたかい愛情と信頼で子どもに接しつつ、その活動の輪をすべての子どもに広げ深めていくことが大切です。
 それは、とりもなおさず「健全な子どもの世界」の創造に一歩近づくことになるからです。

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5 内  容
 「社会教育」活動です。
 子ども会は、学校や家庭生活とは異なって、子どもたちが、いちばん自由で拘束のない、解放された楽しい第3の世界(子どもの世界)の中で、そのひとときを利用して活動する「子どもの組織体」です。
それは要約すると、次のような教育意図をもつ活動となります。
 第1に、集団の中でいろいろな遊びや活動をとおして、民主的な社会人としての知識や技術、または集団生活に必要な態度やルールなどを身につけさせることです。
 第2に、一人ひとりの可能性を導きだし、健康で創造性豊かな社会人として、世の中を正しく生きぬく素地を培うということです。
     そのためには、子どもたちの日常の生活の中から、その行動や心理を学ぶとともに、それを子どもたちの自主的な遊びや活動の中に生かし、子どもたちに正しい判断力と行動力を涵養(かんよう)し、健全な人格形成に役立つ「導き」が必要です。
 子ども会活動は、あくまでも「社会教育的活動」であるところに、その立脚点があります。
 地域の子どもの教育と環境が、地域の崩壊と相乗する中で、今ほど、子ども会活動の意義を正しく啓発し、その活動を積極的に進める必要のあるときはありません。
地域社会を成立させている要因=「地縁性と共感性」が希薄化する中で、子どもたちが集う遊びの世界を取りもどし,ゆとりのある子どもの生活を享受させる「子ども会」を育成していくことが大切です。

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