2013年8月2日
「3.11の経験から学ぶ体験交流会@南三陸町」のご報告です!

【はじめに】
全国子ども会連合会初の取り組みとして主催した「3.11の経験から学ぶ体験交流会@南三陸町」が閉幕しました。開催期間中の南三陸町の天気は曇りまたは雨でしたが、幸運にも野外での体験交流会では強い雨が降ることもなく、無事に全てのプログラムを終えることができました。
体験交流会には、広島県、滋賀県、群馬県、東京都の4都県から14名のジュニアリーダーが参加してくれました。
開催当初は緊張していた参加者たちでしたが、南三陸町のご協力者の方々との交流とワークショップを通じて受け取った「大きな宝物」を地元地域へ持ち帰ったことと思います。
参加者同士が助け合いながら事務局の運営に積極的に協力してくれたこと、そして、今回の体験交流会の企画立案段階から参加してくださった南三陸町の方々のご協力があったからこそ成立した体験交流会でした。
正直に申し上げると、かなりハードなスケジュールでした。しかし、参加者が最後のワークショップで発表した「これから私がやりたいこと」を聞くと、今回の体験交流会が実りあるものであったと思います。
地元地域のご協力者の皆さまへ、心から感謝申し上げます。そして、すばらしい参加者の皆さん、送り出してくださった保護者の皆さん、積極的に参加を促してくださった都県子連の皆さん、本当にありがとうございました。
全子連では、今回の体験交流会に関する報告書作成の準備を始めています。完成しましたら当ホームページに掲載しますので、是非ご覧ください。

みんな良い表情をしています。

最終日の夜の「まとめワークショップ」を終えて。たくさんの「宝物」を受け取り、仲間同士の信頼関係も築けて。みんな良い表情をしています。

今回3名が参加した広島県子連の事務局から、次のようなメッセージをいただきましたのでご紹介させていただきます。

『いつもお世話になります。また、先日の南三陸体験交流会では広島県子連から参加の3名が大変お世話になりました。廿日市市子連から参加の女子二人は、帰広するなり教育長への報告、地元FMの生放送に出演、地元新聞社からの取材…と、自分たちの感じたことを忙しく報告しています。貴重な体験をさせていただきまして、ありがとうございました』

広島県廿日市市子連から参加した2人。広島に帰ってから地元FM局に生放送出演!

広島県廿日市市子連から参加した2人。広島に帰ってから地元FM局に生放送出演!

中国新聞朝刊(7月31日)の記事にも取り上げられました。

中国新聞朝刊(7月31日)の記事にも取り上げられました。

地元紙『三陸新報』から取材があり、「お茶っこ会」記事が朝刊に掲載されました。

地元紙『三陸新報』から取材があり、「お茶っこ会」記事が朝刊に掲載されました。

******それでは、体験交流会の様子を簡単にご紹介します*******

<7月22日(月)>
◆開会式
最初に、震災で犠牲になられた方々へ1分間の黙祷捧げたあと、全子連の杉浦事務局長の開会宣言、東京都子連の齋藤理事長のご挨拶から体験交流会がスタートしました。

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◆ワークショップ「南三陸町の宝物を探そう」
ファシリテーター:南三陸町保健福祉課福祉アドバイザー(東北大学大学院) 本間照雄さん。あの日、南三陸町で起きたことを伝えてくださった後、今回の体験交流会のテーマである「南三陸町の宝物を探す」ことの意味を説明。その後、グループに分かれて自分の地域で自慢できることを互いに紹介し合いました。

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<7月23日(火)>
◆長須賀海水浴場清掃ボランティア
 お話しと活動ガイド:一般社団法人震災復興支縁協会つながり 勝又三成さん
歌津の子ども達が自ら清掃して今年の7月20日にオープンした長須賀海水浴場。海水浴客が来る前に砂浜を清掃して綺麗にするボランティアに参加して、プラスティックのカゴに8杯ほどのゴミを拾いました。高校生と職員の男性は遊泳区間外の砂浜に埋もれていた「マグロサイズ」の潰れたトタン板に挑戦。見事に成し遂げました。

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◆平成の森でのお茶っこ会
南三陸町平成の森団地の皆さま
ボランティア活動の後は、一旦宿に戻って平成の森団地(仮設住宅)の集会所で「お茶っこ会」を開催。平成の森団地にお住まいのご高齢者を中心に約40名参加してくださいました。南三陸町の歴史、津波から命を守る方法など、貴重な知恵をまるで孫に話すように優しく伝えてくださいました。

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◆「海藻おしばで学ぶ、あなたと社会のつながり」
ファシリテーター:南三陸町ネイチャーセンター友の会 藤田岳さん
ゲスト・ファシリテーター:南三陸町伊里前小学校 阿部正人先生
                歌津てんぐのヤマ学校 蜘瀧仙人(くもたきのりと)さん
                歌津で水産会社を営む千葉拓さん
皆でワイワイと海藻おしば葉書をつくりながら、南三陸町における海藻がなぜ大切な存在なのか、海藻とはそもそも何か、低い山々で囲まれた地形が豊穣な海を育む理由を学びました。それらを模造紙にまとめてから、参加者の地元で自慢できるものを書き出して「海藻」に相当するものは何かを探りました。
               

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◆ワークショップ「自然と人のつながりから宝物を探そう」
 ファシリテーター:阿部正人先生、蜘瀧仙人さん
まず最初、「3人指相撲」や「あっち向いてホイ」で緊張をほぐしたあと、「3分3回」が始まりました。まず、午前中の「お茶っこ会」で感じたことを3分間で相手に伝えます。次に伝えられた人は聞いた内容を別の相手にできるだけ正確に「3分間」で伝えるという仕組みです。「傾聴」する力を鍛えるとともに、人には色々な感じ方があって、自分と同じところもあれば、違うところもある。そしてそれが当たり前のことだということを学ぶ内容でした。「海藻おしば」で模造紙に書き出した「地域で自慢できること」を、自然、仲間、知恵の3つに分類する作業をして体験交流会の2日目が終わりました。

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<7月24日(水)>
◆小泉海岸視察
 現地案内:阿部正人先生
朝7時頃に平成の森をバスで出発。今日は一日バスで移動しながらの体験交流会です。
小泉海岸近くの駅前で阿部先生と合流したあと、美しく、サーフィンの会場としても有名だった小泉海岸を歩きながら、新たにつくられる予定の「防潮堤」について説明を聞きました。断面が台形状の防波堤の底辺は100m、高さは14m超。実際にを歩いてみるとその大きさに圧倒されるほど巨大な施設であることが分かります。

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画像をクリックすると、小泉地区の津波についての記録サイトにアクセスできます。

↑画像をクリック↑すると、小泉地区の津波についての記録サイトにアクセスできます。


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◆震災後の新たな地域おこし
 お話し:南三陸町入谷公民館 阿部忠義館長
小泉海岸からバスで45分ほど移動して入谷公民館に到着。入谷公民館館長の阿部忠義さんのお話しを伺いました。津波が襲う前の南三陸町の写真、仕事を失った人たちが工夫しながら、南三陸町のゆるきゃら「オクトパス君」を生み出して商品化するまでの努力について知った後は、入谷公民館から歩いてすぐにある「Yes工房」で作業の見学と、地域で大切に守ってきた八幡神社で絵馬を奉納。オクトパス君の実物が出迎えてくれた楽しい一時でした。昼食はバスで少し移動して「ひころの里」で、江戸時代からの建物の中でカレーライス。囲炉裏端で少しゆっくりすることができました。

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◆気仙沼リアスアーク美術館常設展示見学
お話し:学芸係長 山内宏泰さん
ひころの里からバスで気仙沼のリアスアーク美術館へ移動。美術館内は写真撮影禁止のため写真でのご紹介ができず残念です。美術館のスタッフが、時に危険な目に遭いながら大変苦労して集めた被災物。携帯電話、ガスボンベ、自転車、タンスなど日常の暮らしが分かる品々には一つ一つ物語が付けられています。津波に襲われた時のことがはっきりとイメージできる常設展でした。参加者も展示物一つひとつに時間をかけて丁寧に見て(読んで)いました。
見学の後は、館内の別室で学芸係長の山内さんのお話しを伺いました。大変な寒さの中で限られた食料をスタッフで分け合いながら美術館を守ったこと、震災直後から、美術館スタッフは写真機材を持ち町へ出かけ「震災の状況を記録する」ことに徹しました。被災状況の冷静な記録がなければ震災の経験が後世の防災や町づくりに活かされないからです。
「非日常が未だに続いている。早く日常を取り戻したい。今は安らぎは無いが、より良い町づくりをしようという信念を共有できる仲間の存在が支えだ」という言葉が強く心に響きました。

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◆まとめのワークショップ
ファシリテーター:阿部正人先生
このワークショップは、まず今日一日の振り返りをA3用紙にまとめ、3分3回の方法で全員で共有するプログラムから始まりました。が、後半は、チームで取り組むゲームを楽しみました。単なる楽しいゲームではありません。「チーム作り」のために大切な考え方を知り、人としての成長を促すことが目的です。こういうと難しそうですが、実際にはとても楽しいゲームの連続。人によっては苦痛になる「罰ゲーム」もありません。目標とする速さに近づくためには「人の得意なことを活かす」「一人ひとりが真剣に取り組む」など、たくさんの答えを参加者自ら見出していました。

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<7月25日(木)>
◆東日本大震災の記録映像(東京都子連 齋藤理事長編集)
 朝食後の1時間、気仙沼ご出身の齋藤理事長が自ら編集した記録映像を皆で観ることができました。津波が押し寄せる状況から始まり、居なくなった母親を探す女の子、卒業式で震災の非情さを乗り越えて未来をつくると宣言した高校生…。映像の一つ一つが胸に迫る内容で、改めて「命」と「人の繋がり」、「防災」について考えさせられる時間となりました。

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●「歌津てんぐのヤマ学校」について
 24日の夜、ファシリテーターの蜘瀧さんのご親族にご不孝があったため、大変残念でしたが当初予定の「歌津てんぐのヤマ学校」のお話しは中止となりました。しかし、子ども達が自ら遊ぶ中で知恵や技術を体得して行くヤマ学校は、これからの子ども会活動にも活かすことができる大切な仕組みだと思います。
是非、リンク先のホームページをご覧ください。
http://utatsu.blogspot.jp/p/blog-page.html

◆お茶っこ会で宝さがし(2回目)
 23日に引き続き、平成の森団地の皆さんとお茶っこ会を楽しみました。前回に引き続きご参加くださった方も多く、手作りのジャガイモ料理もたくさん差し入れられました。より打ち解けた雰囲気の中で震災後の辛いお気持ちや本音が語られ、辛い胸の内を抑えて笑顔で接してくださる方々の暖かな心遣いを知る機会となりました。
お茶っこ会の片づけが終わったあとの感想交換では、「また必ず南三陸に来る」と決意した高校生もいて、心と心の強い交流が生まれたことが分かりました。昼食を食べた後に町民バスを利用して次なる体験交流会に向かう時、お茶っこ会に参加くださった方々が見送りに来てくださり、何とも名残惜しいお茶っこ会でした。

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◆南三陸町ジュニア・リーダーとの体験交流会「私たちすごい力を持っている」
ファシリテーター:「南三陸ボランティアサークルぶらんこ(MVCぶらんこ)」メンバー6名  
ぶらんこのホームページ http://05.xmbs.jp/mvcjl/
このプログラムは、全て「ぶらんこ」の皆さんが考えた企画に基づいて運営されました。南三陸町の志津川にある仮設商店街「さんさん商店街」で「ぶらんこ」の皆さんと合流。さらに熊本県から丸山全子連会長も駆けつけて合流です。
自己紹介のあとは、参加者3名に1人の「ぶらんこ」メンバーが寄り添う形で志津川の街歩きに出発。まず、防災庁舎跡に向かい、ここでたくさんの町職員が無くなったと説明を受けたあとで献花と黙祷を捧げました。次に向かったのは大人ではとても一気に登りきれないほど長くて急な階段を登った先にある「志津川中学校」。敷地から雨に煙る志津川の市街地を眺めた後、再び階段を下りてさんさん商店街のテント内でワークショップが開始されました。一人ではできないけど、皆でやれば世界平和だって実現できる。「風が吹けばおけ屋がもうかる式」とリーダーの佐藤瑶子さんが名付けた連想ゲーム式で、楽しくユニークな夢が広がり元気が出るワークショップとなりました。

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◆まとめワークショップ「宝物×あなた×地域=?」
ファシリテーター:本間照雄さん
ゲストファシリテーター:阿部正人先生、藤田岳さん

体験交流会最終日の、そして最後のワークショップです。今までは「みんな」で考えてきた南三陸町、自分の地元地域の宝物や、体験交流会を通じて考えてきた「自分自身の宝物」と「大切な人との関係という宝物」を総合して、自分自身がやりたいと思うことを考えて、ワークシートに書き込みます。じっくりと1時間ほどをかけて、体験交流会を振り返りながら皆真剣にワークシートと向き合っていました。そして一人ひとりが前に出て自分自身がやりたいことを発表。皆の真っ直ぐな心と、今回の体験交流会で南三陸町の皆さんから受け取った宝物が合成されて、すばらしい発表となりました。
参加したジュニア・リーダー達の気づきや「挑戦したいこと」は、大人にとっても新たな気づきを与えてくれるものでした。

【私がやりたいこと】~一部抜粋・編集しています。
・南三陸町の人はどんな人だったかを伝えることに挑戦してみたい。
・「もし」のことを考えて必要なことを覚えることに挑戦してみたい。冷静に対処することでパニックにならないように家族などに提案したいから。
・もっともっとボランティアに挑戦してみたい。日本中を幸せにしたいから。
・思った事をすぐ実行に移す行動力をつけることに挑戦してみたい。もし災害が起きたときにすばやく逃げられるようにしたいから。
・現地に行く重要性を伝えることに挑戦してみたい。現地でなくてはならないことが多いし、経験した人にしかわからない「世間とのズレ」を伝えたいから。
・新聞づくりに挑戦してみたい。中高生の視点で分かったことをより多くの人に知ってほしいから。
・自分の学校の自然をふやしてもらうことに挑戦したい。学校の人をゆたかにしたいから。
・町おこしに挑戦してみたい。町を活性化させたいから。
・KYTを活かして子どもを幸せにすることに挑戦してみたい。危機感がない地元地域に南三陸町の人たちの話しを元にして日頃から対策をとることを大切さを知って、行動して、「文化」にしてほしいから。
・自分の地域の行事に挑戦してみたい。今はばらばらな地元の人たちを、今回であった人たちのようにみんなが仲良く明るい街にしたいから。
・今回の交流会で学んだことを伝えることに挑戦してみたい。現地で観たことを友達とかに知ってもらって、人と人とのつながりについて考えてもらいたいから。
・地域の人にあったら、あいさつに挑戦してみたい。地域の人と仲良くしたいから。

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【さいごに】
全国子ども会連合会として初めての取り組みとなる「3.11の経験から学ぶ体験交流会@南三陸町」は、南三陸町の協力者の皆さまのご尽力、協賛企業のご支援によって実り多い取り組みとなりました。参加した子ども達も、4泊5日の間に大きく成長したと実感しています。南三陸町の宝物を探すことは、自分の地域の宝物、自分自身が持つ宝物、自分を支えてくれる人たちという宝物に、改めて気づくことでもありました。
今回の取り組みは「地域防災教育」としても、「ジュニア・リーダークラスの研修」としても大変価値あるものだと考えています。
今後、南三陸町の皆さまからいただいた「宝物」を活かし、次なる企画をより良いものにしたいと考えます。

今回の体験交流会を支えてくださった方々に、心から感謝申し上げます。

<南三陸町>(50音順)
◆気仙沼「底上げYouth 」 http://sokoage.wordpress.com/
阿部正太郎さん
◆南三陸町入谷公民館館長 兼 志津川・戸倉公民館館長 
阿部 忠義さん
http://ms-octopus.jp/project/introduce.html
◆南三陸町立伊里前(いさとまえ)小学校 教諭(防災主任)
阿部 正人(まさひと)さん
◆一般社団法人 震災復興支縁協会つながり 
代表理事 勝又三成さん
◆歌津てんぐのヤマ学校 さえずりの谷
蜘瀧 仙人(くもたき のりと)さん
◆南三陸町ボランティアサークルぶらんこ http://05.xmbs.jp/mvcjl/
ジュニア・リーダーの皆さん
◆平成の森 http://taihei-sendai.com/
職員の皆さん
◆南三陸町産業振興課
任期付主任(ネイチャーセンター準備室)平井 和也さん
◆南三陸町ネイチャーセンター友の会 事務局長   http://rias-nature.jp/
藤田 岳さん
◆平成の森団地 
自治会長 畠山 扶美夫さん、お茶っこ会ご参加の皆さま
◆南三陸町保健福祉課福祉アドバイザー(東北大学大学院)
本間 照雄さん

<ご協賛企業・団体>
一般社団法人 日本損害保険協会 様
http://www.sonpo.or.jp/

株式会社ユビキたス様
http://www.ubqtus.jp/

フォーチュン宮城編集部
http://www.fortune-miyagi.com/index.html

<参考図書>
『大好きな小泉を子どもたちへ継ぐために ~集団移転は未来への贈り物』

no.43














http://www.koizumishop.com/SHOP/001.html





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